彫師のハードボイルド

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先日つづけざまに読んでいました。
藤沢周平著 ~彫師伊之助捕物覚え3部作(江戸を舞台にしたハード・ボイルド)

ハード・ボイルドというのは洋の東西を問わず、わたしにとっては
あまりなじみがなかった。
だから、ハードボイルドものとして、どうこうという感想は述べられないけれど
やはり藤沢周平作品だけに、人のこころの奥深くに潜む闇、情、悲しみ
という繊細なものが描かれていて、単なる謎解きとか犯人探しなどとは
明らかに一線を画している。

主人公伊之助は、岡っ引きという仕事に、かつてやりがいを感じて没頭していたが、
そんな彼に距離を感じていた妻が、他の男と駆け落ち心中してしまったという
拭い去ることの出来ない心の影をひきずっている。
伊之助はそれを機に岡っ引きを辞め、もともと修行していて技術を持っていた
版木の彫師を本業とするようになる。しかし元凄腕の岡っ引きということで
難事件には、町方から力を貸してくれと、頼まれ、無償で事件を解明していくのだ。

なんの利益もなく、むしろ命を落としかねない危険に遭遇しても、なんとしても
あきらめないで手加減せずに捜査をすすめていくその姿は、やはり本来はこの人の
天職であったはずなのだった、と思わせられる。
(そして本当にやりがいを感じることに対しては、それが生み出す利益の有無(大小)
などは、本当のところ、取るに足らないことである、と強く感じさせられもする。)

本の中に出てくる日本橋界隈の情景、いくつかの橋や川のある風景。。
今とはまったく想像もできない世界なので、時代劇の映像で見た江戸の風景
や、3年前に永代橋の袂近くのウィークリーマンションにちょっと長逗留した時
に自分の足で歩いて感じた、あのあたり、いく筋の川が交差する風景の印象を
重ね合わせて、その描かれている風景や情景を、懸命に想像してみることも
たのしかった。

1作目『消えた女』の後半の展開のドキドキ感と3作目『ささやく河』の中に描かれた
登場人物の心の深い悲しみは、とても印象深いものがありました。

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読みたい!

けっこう、藤沢周平の世界好きなのです^^
読みたいけど、チクチクしないと・・・なのです。
ノートにメモしておきます。買っておく?

Re: 読みたい!

あ、aoさんも、お好きなんですね♪

わたしも、他の藤沢周平の本、もっと読みたいけど
ホリホリしないと・・・です。^^;)
でも、時々寝る前に、短編をちびちび読んでます。
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